昨日の菊池事件再審国賠訴訟熊本地裁判決について共同通信の取材に応じ、コメントしました*1
https://rd.kyodo-d.info/np/2020022601001450?c=39546741839462401
コメントは次の通りです(表現の修正あり)。
特別法廷の裁判を平等違反とし、裁判の公開に反する疑いがあるとした判断は、これまでの最高裁の検証よりも踏み込んでいる。さらに、1950年代の菊池事件に焦点を当ててその裁判手続きを違憲と判断したのは、60年代以降の行政、国会の対応を違憲とした2001年の熊本地裁判決の趣旨を広げたと言える。審理全体の人格権侵害を認めた点は、特別法廷の問題の本質を適切に考慮したと言え、司法府は判決を重く受け止めるべきだ。他方、国家賠償が認められなかったのは、裁判による救済の限界を示している。ハンセン病に対する差別解消や元患者などの名誉回復については、今後も政治が積極的に関与していくべきだ。
コメントでは触れていませんが、今回の憲法判断が傍論であることに注意を要します。
菊池事件における裁判手続の違憲性に関しては、最高裁判所による調査報告書の分析を含めて、2018年に公表した拙稿(「菊池事件の裁判手続をめぐる憲法問題」法学セミナー757号(2018年)78-82頁)において考察しています。
特別企画2に「菊池事件をめぐる憲法問題」を寄稿しています。よろしくお願い申し上げます。 https://t.co/9NTLf0pAEj
— Kazuaki KINOSHITA / 木下和朗 (@kazkinos) 2018年1月6日