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ポンチ絵

はしがき(30日)

書き始めたのはよいものの、すぐに眠気に襲われ、中断したままでした。4日も経っています。すいません。では、再開。

本編

今週は、改正行政事件訴訟法を勉強していました。来週(30日)の現代憲法特論において、司法改革の1テーマとして取り上げることが直接の動機です。これを機に、遅ればせながら、必要に迫られ泥縄で勉強していた内容*1を整理する意図もあります。

現代憲法特論は、改正の内容に加えて*2、立法過程論の見地から改正の経緯を検討することも重視しているので、行政訴訟検討会の議事録も拾い読みしてみました。
すると、下記のような記述が目に入りました。

行政訴訟検討会(第31回)議事録*3
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/gyouseisosyou/dai31/31gijiroku.html

【芝原靖典委員】
あと個人的なレベルでの感想は、最初から最後まで、ほとんどの資料が文章ばかりで、私としてはちょっと違った資料のつくられ方で、なかなか大変だったというのが実感でございます。もう少し絵解きをした図とか、最後の団体訴訟のところでは、塩野先生がおっしゃるポンチ絵*4がございますが、一般の国民の人は、なかなか法令文書的なスタイルで全て説明されると、多分最後まで読み切れないです。そういう意味では、もう少し国民に分かりやすい図解・絵解きをしたような図があって初めて理解できると思いますし、絵解きをして初めて文章で、論理的には直列的につながっていましても、立体的にみれば、どこに穴があるかということが、図を書いて見て初めて分かるというのもありますので、是非そういう感覚も、これからは取り入れて欲しいというのが、私の感想でございます。

【山崎潮事務局長】
その間、結構ハードスケジュールで、毎回毎回大変分厚い書類がお手元にありまして、先ほど芝原委員の方から読むのも大変だと、そのとおりだろうと思います。本当にそれに耐えていただきまして、ありがとうございました。これは、やはり反省が残りまして、政治の世界では、なるべくポンチ絵をカラーコピーでやるようにはしているのですけれども、この行政事件訴訟法の関係は、どうも絵にならないところがありまして、今後の工夫を考えたいというふうに思っております。

ポンチ絵」? 官僚用語か。文脈から、制度や政策の理念や内容等の図解を指すことは判ります。とはいえ、初めて見る言葉なので『広辞苑[第5版 CD-ROM版]』を引いてみました。載っていました。

ポンチ‐え【―絵】(‥ヱ)
(イギリスの諷刺漫画雑誌「パンチ」(Punch)から) 寓意(ぐうい)・諷刺の滑稽な絵。漫画。

だそうです。
しかし、なぜ官界において「図解」を「ポンチ絵」と称する用法が定着しているのか、そもそも、なぜ"punch"を「ポンチ」と表記するようになったのか*5、疑問は尽きません。いずれ調べてみることにします。

*1:行政訴訟検討会の議論が本格化する時期と在外研究が重なったこともあり(言い訳。単なる不勉強です。^^;)、帰国直後は「あれ、行訴法改正されたの?」という状態でした...

*2:場合によってはそれ以上

*3:下線は筆者。

*4:第30回配付資料4「団体訴訟(検討資料)」所収7頁「(参考)行政訴訟において団体訴訟制度を設ける場合のイメージ」図、または、「行政訴訟検討会最終まとめ−検討の経過と結果−」参考資料11「団体訴訟」所収7頁「(参考1)行政訴訟において団体訴訟制度を設ける場合のイメージ」図を指すと思われる(両者は同図)。だだし、塩野座長自身による発言として「ポンチ絵」は議事録に記録されていない。

*5:同様の疑問はフルーツポンチ(fruit punch)にも該当する。