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飛行機内にて

9日(木)から17日(金)まで、札幌(北海道大学)へ出張しました。学界における先端かつ活発な議論に接し、諸先生・諸兄と旧交を温め、面識を得るなど、充実した日々を過ごしました。
熊本から札幌(千歳)までは直行便が無い*1ので、今回は*2、東京(羽田)乗り継ぎで往復しました。この往復ともに機内にて、同じような経験をしました。
往路・熊本−羽田便、座席に着いて離陸を待つ間、通路を挟み隣の座席に座っていた、赤ちゃん連れの女性が話かけてきました。
「この子たぶん泣くと思うので、うるさいですが、すいません。」
復路・千歳−羽田便、着陸後、降りようと荷物棚からリュックサックを降ろしていると、前列の座席に座っていた、3人のお子さん連れの女性が話しかけてきました。
「子どもが泣いてうるさくして、すいません。」
いずれの場合にも「全然かまいませんよ。」などと答えながらも、その後、少なからず考え込んでしまいました。
確かに、乳児や幼児(「子ども」と総称します。)の泣き声をうるさいと感ずるようなタイプに自分が見られて、些かショックを受けたということはあります*3。実際には生来、大きな音に平気な方です*4。しかも、我が家には、父親に似て声が「でかく」元気のよい息子がいるので、少なくとも、彼の出生以降は、子どもの泣き声を聞いても、心配することはあるにせよ、気に障ることは全くありません。
想像するに、母親と思われる女性は、これまで、子どもの声がうるさいと注意されるか、または、冷たい視線を浴びるという経験を多々しており、言わば「トラブルの予防」として、私に声をかけたのでしょう。深刻な問題と思われるのは、これらの経験の背景をなす、子どもの泣き声をうるさいと感ずる風潮です。
イギリス(London)における限られた経験に基づきますが、彼地の子どもは、日本人の子どもに比べて行儀が極めて悪いという面はあります。しかし、公共交通機関における大人の態度には、子ども連れに席を譲る、子どもが「ある程度」大声を上げてもそれなりに接するという、ある種の「寛容」が感じられました。大人だけの空間へ子どもが立ち入ることを厳格に規制する一方、子どもの立ち入りを一旦認めた空間においては、大人は子どもに寛容に接するという、空間区分が徹底しているからです。
子どもの声がうるさく感じられるのは致し方ないことでしょう。言語というコミュニケーション手段を有しない乳児の場合はなおのことです。そうであるならば、日本においても、イギリスのような、空間区分に基づく子どもへの寛容を形成していくことは必要なことだと思われます。少なくとも、公共交通機関の車内において子どもの泣き声をうるさがる風潮は、早急に改善されるべきです。
少子化」が社会問題となっています。この要因は多様でしょう。ただし、子どもに対するある種の「不寛容」が要因の一つとも思えるこの頃です。練られていない随想を敢えて綴った次第です。

*1:10年ほど前は、旧JASが「週に」2往復を運行していました。

*2:JRで博多まで行き、福岡−札幌の直行便に乗るという経路もよく利用します。

*3:特に復路の場合、飛行機が時間調整のために旋回した上、強風のため大きく揺れたので、乗り物酔いになってしまい、ゲッソリしていました。

*4:そうでなければ、Hard Rockを愛聴することはできないでしょう。